リースバックを行うと、自宅が自分の名義からリースバック業者に所有権が移転することになります。
<不動産売買の売主の必要書類>
・不動産売買契約書
・登記識別情報又は登記済証
・印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの。登記簿上の住所と異なる住所での印鑑証明書の場合、別途住民票等が必要になります。)
・固定資産評価証明書
・委任状(司法書士が作成)
・代表者事項証明書又は会社登記簿謄本(売主が法人の場合)
・身分証明書(売主の本人の確認のため必要。原則として運転免許証など顔写真付きのもの)
<所有権移転の登記費用>
所有権移転の費用は通常買主側のリースバック業者が負担します。
登録免許税は、原則として固定資産評価額の1,000分の20です。ただし、現在は租税特別措置法の特例措置により、土地の売買につきましては1,000分の10です。
居宅を自己の居住用として取得した場合で、当該建物が一定の要件を満たしているときには、建物の売買については1,000分の3となります。その他、司法書士報酬等が別途必要になります。
リースバックを利用する時によくあるのが、父親が亡くなり相続した土地建物をリースバックしたいが、相続登記をまだ行っていないという事例。
亡くなった登記簿上の所有者からリースバック業者に所有権を移転するわけにはいきません。
不動産の所有者が死亡した場合、相続人への所有権移転登記が必要となります。
相続人が多いとか、近くにいないとか。
時間がかかる手続きとなりますので、リースバック会社に早めに相談してください。
<相続登記の必要書類>
・被相続人の出生から死亡するまでの一連の戸籍・除籍・改製原戸籍(司法書士が代行で手続きします)(相続人の確定をするために必要)
・被相続人の戸籍の附票か住民票の除票(被相続人が登記された名義人と同一であることを証明するため)
・相続人全員の戸籍謄本(抄本) (相続人が相続時に生存していることを証明するため)
・固定資産評価証明書
・委任状(司法書士が作成)
法定相続分と異なる場合の必要書類
・遺言書(遺言書で相続分が指定されている場合に必要)
・相続放棄申述受理証明書(家庭裁判所に相続放棄申述をした場合)
・遺産分割協議書および相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議がなされた場合)
<費用>
登録免許税は、固定資産評価額の1000分の4です。その他、戸籍等の収集費用、司法書士報酬等が別途必要になります。
リースバックを利用する時によくあるのが、土地に未登記建物がある、建物を増築しているが増築登記は行っていない事例。
所有者が法務局の登記簿に記載されていない未登記状態のままだと、その不動産の所有者は「自分がこの不動産の所有者である」ということを、第三者に主張することができません。
当然売主にはなれませんし、リースバック業者は購入もできません。
増築の未登記についても、正しい姿に登記簿を直す必要があります。
<未登記建物の登記手続き>
・建物表題登記を行い、登記簿を作成する。
・登記簿が作成したのち、所有権保存登記(所有者が誰であるかを公示する登記)を行う。
増築登記に必要な書類としては、建物表題変更登記の申請書、増築部分の所有権証明書、増築後の各階平面図と建物図面などが必要です。
土地家屋調査士が対応します。
費用と時間がかかる手続きとなりますので、リースバック会社に早めに相談してください。
リースバックを利用するにあたり、ご自分の所有している不動産の登記簿を見たことがありますか。
リースバックを利用する場合、不動産売買になるので不動産登記簿の内容を理解することは大切です。
不動産の登記簿は土地・建物が別々にあり、「表題部」「甲区」「乙区」で構成されています。
<表題部の記載事項>
土地の表題部
・不動産登記上の所在(所在地;○○市○○区○○町○番地)
・地目(宅地・畑・田・山林・雑種地・沼地・池・その他:地目の変更)
・地積(面積:平方メートル表示)(地積の変更:合筆・分筆など)
建物の表題部
・不動産の所在
・種類:居宅・店舗・事務所・工場・倉庫など
・床面積:各階別面積(平方メートル表示)
<甲区・所有権の記載>
登記簿の「甲区」には、「その不動産を誰が所有しているか」という所有権に関する事項が記載されています。
・所有権保存登記・所有権移転登記・所有権一部移転登記・所有権移転仮登記・条件付所有権移転仮登記・仮差押登記・仮処分登記・競売申立登記
など。
税金の登記や競売申立の登記は、リースバックで所有権を移転する際には抹消できる状態(納税・返済)にしなければいけません。
<乙区・所有権以外の権利>
登記簿の乙区には所有権以外の権利の記載がなされています。
・抵当権・根抵当権・地上権・地役権・賃借権
など。
リースバックでは、自分が所有している不動産を売却し、リースバック業者に所有権を移転します。(甲区欄)
自分が借入をしていた抵当権は抹消登記されます。(乙区欄)
また、リースバック業者は物件の購入と同時にその物件を担保にリースバック業者が借入を行う場合があります。
その場合は、リースバック業者を債務者に銀行やノンバンクの貸金業者(債権者)が抵当権等を設定します。(乙区欄)
不動産を担保に資金を受ける場合、担保とする不動産に抵当権か根抵当権を設定するのが一般的です。
@抵当権について
抵当権は、特定の債権を保全するための担保権で、債務者または第三者(担保提供者)が提供した担保物の占有を債権者に移さず、抵当権設定者の手元に留めて、それを使用・収益させながら、万が一、債権が弁済されない時は、その担保物を競売し、その代金により、他に優先して弁済を受ける権利をいいます。
抵当権は民法第369条で規定されています。
「1.抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。2.地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる」
抵当権には、付従性、随伴性、不可分性、物上代位性があります。
A抵当権の登記簿表示例
不動産担保ローンでお金を借りる場合(証書契約の場合)、金消費貸借契約書または借用証書と抵当権設定契約書を締結します。
金融機関等の債権者が「抵当権者」、借り手が債務者で、担保不動産の所有者が「抵当権設定者」といいます。
不動産に抵当権を設定すると、登記簿に、登記の目的(抵当権設定)、登記原因(金銭消費貸借**年**月**日設定)、債権額、債務者の氏名住所、利息、損害金、抵当権者(債権者)などが表示されます。
(抵当権の登記簿表示例 乙区欄)
抵当権設定
原因 *年*月*日金銭消費貸借*年*月*日設定
債権額 ***円
利息 ***%
損害金 ***%
債務者 借主
抵当権者 貸主(****銀行や****ノンバンク)
B 抵当権設定登記に必要な書類(借りる側)
・抵当権設定契約書(または、登記原因証明情報)
・不動産所有者の実印(実印を押した委任状)
・不動産所有者の印鑑証明書(3か月以内)
・不動産所有者が会社法人の場合は資格証明書または商業登記簿謄本(3か月以内)
・不動産の権利書または登記識別情報
不動産を担保に資金を受ける場合、担保とする不動産に抵当権か根抵当権を設定するのが一般的です。
@根抵当権について
根抵当権は、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保する抵当権をいいます。
根抵当権設定契約によって極度額を定め、変動する債権について、極度額の範囲内で担保することができます。
これらの債権は将来確定するものでありますが、債権が消滅しても、根抵当権は極度額の範囲で存続することとなります。
民法第398条の2(根抵当権)では、
「1.抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
2.前項の規定による抵当権(根抵当権)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるもの、その他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。
3.特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権又は手形上若しくは小切手上の請求権は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる」
と記されています。
一般に根抵当権は、特定の債権を担保するものではないため、附従性がなく、継続的な取引関係にある当事者間に生じる債権を担保することに向いています。また、根抵当の種類として、共有根抵当権、共用根抵当権、共同根抵当権があります。
根抵当権で担保されている債権の元本が確定することを「根抵当権の確定」といい、確定期日を定める時は5年以内であることが必要です。
A根抵当権の登記簿表示例
不動産に根抵当権を設定すると、登記簿に、登記の目的(根抵当権設定)、登記原因(**年**月**日設定)、債権の範囲(金銭消費貸借取引、手形債権、保証委託取引など)、極度額、債務者の氏名住所、根抵当権者(債権者)などが表示されます。
(根抵当権の登記簿表示例 乙区欄)
根抵当権設定
原因 *年*月*日設定
債権の範囲 **取引、**債権
極度額 ***円
債務者 借主
根抵当権者 貸主(****銀行や****ノンバンク)
B 根抵当権設定登記に必要な書類(借りる側)
・根抵当権設定契約書
・不動産所有者の実印(実印を押した委任状)
・不動産所有者の印鑑証明書(3か月以内)
・不動産所有者が会社法人の場合は資格証明書または商業登記簿謄本(3か月以内)
・不動産の権利書または登記識別情報
根抵当権設定の登録免許税は極度額の1000分の4です。